長屋の解体工事

なくなりつつある長屋

長屋とは家が複数くっついている感じの造りになっている、時代劇でよく目にするあんな感じの建造物ですが、現在も昔ながらの街並みが残っている下町には 健在なのでこれから解体工事が行われる長屋もまだまだあるでしょう。 ひとつの建物に複数の世帯が生活していますが、共同住宅との違いは共用部分が長屋にはないという点が挙げられるでしょう。 マンションにはエレベーターやエスカレーター、階段などの共用部分が複数ありますが、長屋にはなんとひとつもありません。 いくつもの住宅が合体していますが廊下や階段はそれぞれの世帯ごとに専用の物が用意されており、みんなで使おうね、ということにはならないのです。 マンション暮らしをしている人はそれを「なんて無駄に贅沢なんだろう」と思いそうですが、そもそも造りがそのようになっているので少しも無駄ではなく、 またこれっぽちも贅沢ではありません。

簡単ではない長屋の解体

そんな長屋は解体工事があまり簡単ではないことで知られており、その理由は一戸建ての住宅とは違って隣人の住んでいる建物と繋がっていることにあります。 例えば3世帯が住まわれている長屋があったとして、北側にAさん、南側にCさん、真ん中にBさんがいるとしましょう。 真ん中のBさんがキッチンのリフォームをする時期にさしかかっており、ならばいっそのこと新築住宅を建ててしまおうかなと考えたとします。 現在住んでいる長屋を解体してそこにハイソサエティな自然素材の住宅を建てよう、そんなプランが頭の中に浮かんだとしても、長屋を勝手に解体することはできません。 全体を解体するのならAさんとBさんの住まう家がなくなってしまいますし、よく相談して満場一致で取り壊すタイミングを決めなければならず、 これは近所付き合いが長い間柄でも非常に難しいこととなるでしょう。 みんながみんな無添加住宅に憧れているわけでもありませんし、うちはリフォームも建て直しも必要ないと言う人が一人でもいたらこの話は頓挫してしまいます。 そうなると全体ではなく長屋の切り離し解体になりますが、その場合もAさんとCさんの了承は不可欠なのでやはり話し合いをすることになるでしょう。 これは法律でも決められていることで、Bさんの独断で勝手に真ん中だけを解体するとこは認められていないのです。

解体には住居者全員の承諾が必要

切り離し解体をするのなら残ったAさんとCさんの部分になにかしらの補修をしなければなりませんし、 その負担についても先に決めておかなければ解体工事を開始することはできません。 長屋の真ん中のBさんの部分だけ解体するわけですから、そのままではAさんとBさんの境目、CさんとBさんの境目部分がおかしなことになります。 壁がなくなってしまうのですから補修工事は避けられず、その費用は基本的に解体工事を行う、今回の例ではBさんが負担するのが一般的です。 ですがこの負担分はあくまで現状と同程度の補修までとなり、過剰に贅沢な補修を行う義務は今の所ありません。 もしもAさんがグレードの高い補修を望むのであれば、その差額分をAさんが支払う形で話をまとめることになります。 ですが前提としてはAさんとCさんの同意がなければ長屋の切り離し解体は成立しませんので、負担分の金額交渉ではBさんが守勢に回ることが予想されます。 また長屋の切り離し解体はどの解体業者でも上手にやれる仕事ではないので、実績のある業者を探して選ぶ必要もあります。 ただ破壊するだけではなく残す部分もある特殊な解体工事となりますので、腕の悪い業者を頼んでしまうとトラブルの原因にもなるからです。 現存数も決して多くない長屋ですし、すぐには優れた業者が見つからないかもしれませんが根気良く探しましょう。

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